はじめに
音声アシスタントといえば、Google AssistantやAmazon Alexaが代表的ですが、ESP32を使ってシンプルな音声アシスタントを自作することも可能です。本記事では、ESP32と音声認識モジュールを組み合わせて、簡単な音声アシスタントを作る方法を解説します。
ESP32はWi-FiやBluetoothを搭載しており、音声データの処理やクラウド連携も可能です。この実験を通じて、IoTデバイスと音声制御の基礎を学びましょう。
システムの概要
本プロジェクトでは、以下のような音声アシスタントを構築します。
- ESP32が音声を認識(専用モジュール使用)
- 音声コマンドに応じてLEDを制御
- Wi-Fi経由でスマートホームデバイスと連携
- 応用編:クラウドAPIを利用した音声アシスタント機能
必要な部品
部品名 | 用途 |
---|---|
ESP32 DevKit | 音声アシスタントの処理を行うマイコン |
Elechouse V3 音声認識モジュール | 音声コマンドをESP32で処理 |
マイク(KY-038など) | 音声入力用 |
スピーカー(3W以上推奨) | 音声応答用(オプション) |
LED | 音声コマンドで制御 |
5V電源 | ESP32の安定動作用 |
回路図と接続方法
音声認識モジュール(Elechouse V3)の接続
V3 ピン | ESP32 ピン |
VCC | 3.3V / 5V |
GND | GND |
TX | RX (GPIO16) |
RX | TX (GPIO17) |
LEDの接続
LED ピン | ESP32 ピン |
+ (アノード) | GPIO5 |
– (カソード) | GND |
プログラムの実装
1. 必要なライブラリのインストール
Arduino IDEを使用する場合、以下のライブラリをインストールします。
SoftwareSerial
(音声認識モジュールとの通信)WiFi.h
(Wi-Fi接続)HTTPClient.h
(クラウドAPI連携用)
2. 音声コマンドの処理
以下のコードで、音声認識モジュールからの入力をESP32で処理します。
#include <SoftwareSerial.h>
#define LED_PIN 5
SoftwareSerial mySerial(16, 17); // RX, TX
void setup() {
Serial.begin(115200);
mySerial.begin(9600);
pinMode(LED_PIN, OUTPUT);
}
void loop() {
if (mySerial.available()) {
String command = mySerial.readStringUntil('\n');
Serial.println("Received: " + command);
if (command.indexOf("LED ON") != -1) {
digitalWrite(LED_PIN, HIGH);
Serial.println("LED Turned ON");
} else if (command.indexOf("LED OFF") != -1) {
digitalWrite(LED_PIN, LOW);
Serial.println("LED Turned OFF");
}
}
}
3. Wi-Fi経由でクラウド連携(応用編)
音声コマンドをクラウドAPIと連携し、天気情報を取得するなどの機能を追加できます。
#include <WiFi.h>
#include <HTTPClient.h>
const char* ssid = "your_SSID";
const char* password = "your_PASSWORD";
const char* apiUrl = "http://api.weatherapi.com/v1/current.json?key=YOUR_API_KEY&q=Tokyo";
void setup() {
Serial.begin(115200);
WiFi.begin(ssid, password);
while (WiFi.status() != WL_CONNECTED) {
delay(500);
Serial.print(".");
}
Serial.println("WiFi connected");
}
void loop() {
HTTPClient http;
http.begin(apiUrl);
int httpResponseCode = http.GET();
if (httpResponseCode > 0) {
String response = http.getString();
Serial.println(response);
}
http.end();
delay(60000); // 1分ごとに更新
}
応用例
1. スマートホーム連携
- ESP32をGoogle HomeやAlexaと連携させ、家電の制御を行う。
- 赤外線リモコンモジュールを追加し、テレビやエアコンを音声制御。
2. 音声合成(TTS)機能の追加
ESP8266SAM
ライブラリを使い、ESP32に音声応答をさせる。- 外部スピーカーを接続し、アシスタントが話すようにする。
3. スマートフォン通知
- IFTTTと連携し、音声コマンドでスマホに通知を送信。
- 家族に音声メッセージを送れる機能を追加。
よくあるトラブルと解決策
1. 音声認識モジュールが反応しない
- 配線が正しく接続されているか確認。
Serial.begin(9600);
のボーレートが適切かチェック。- 音声コマンドを事前に学習させているか確認。
2. Wi-Fi接続が不安定
- 2.4GHzのWi-Fiを使用する(ESP32は5GHz非対応)。
- ルーターとの距離を近づける。
3. クラウドAPIからの応答が遅い
- APIリクエストの頻度を減らす。
- JSONデータの解析を最適化。
まとめ
本記事では、ESP32を使った簡単な音声アシスタントの構築方法を解説しました。
学んだこと
- 音声認識モジュールを使った音声制御
- ESP32とWi-Fiを活用したスマートデバイスの連携
- クラウドAPIを利用したデータ取得
- スマートホームやTTS機能の応用
次のステップとして、音声合成機能の強化やクラウドAIとの連携を試してみるのも面白いでしょう。ぜひ、自作の音声アシスタントを発展させてみてください!
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